当たり前にあったものがなくなったさみしさ ~ 札沼線の思い出

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札沼線が廃線になることを知ったのは、おととしの冬だったと思います。
ちょうど釧路に出張していたときで、宿泊していたホテルで配られた北海道新聞の一面を飾ったのですぐに目に留まったのです。
札沼線は札幌と新十津川間を結ぶ鉄道で、私の実家がある浦臼町も沿線にあるから。

そのときの新聞によると廃止になるのは2020年5月7日でした。
連休直後だなと思いました。だから、今年の連休にはひとり暮らしの母に会いに浦臼帰ろう、廃線直前に札沼線をできると信じていました。

こんにちは。
札幌でWebプロデューサーをしている白藤沙織です。モノゴトをズバリ言うので、「ズバリスト」と呼ばれています。

昨日(4/17)の朝、テレビのニュースを見ていて、「えっ?」て声が出てしまいました。
北海道も緊急事態宣言の対象地域になったので、新十津川町から最後の列車が発車するというニュースでした。

札沼線の浦臼駅に近い場所に住んでいたので、生まれたときから線路はそこにあって、列車が走っていました。列車が来るのが当たり前だった線路。それが昨日なくなったんですね。

札沼線の浦駅です
もう列車が止まることはないのですね
石狩当別駅を過ぎると、畑や田んぼが広がっているところを走っていたんです

札沼線の思い出はたくさんある

私が小学校に入る前は、まだSLが走っていました。黒い煙をあげて列車が走ってくるのを覚えています。近所の友だちと一緒に、SLを追いかけて走ったこともある。運転手さんが手を振ってくれたのがうれしかったなぁ。

札幌に親せきが住んでいたので、親と一緒に札沼線に乗って出かけることがよくありました。その頃は「ジーゼルに乗って札幌に行く」って言ってました。
私はなぜか川を見るが大好きで、札幌が近くなるとわくわくしていました。当時「釜屋臼(かまやうす)駅」があって、その駅を通ると石狩川が見えるのです。札幌までは2時間近くかかるので、だんだん飽きてくるのですが、列車のアナウンスで「かまやうす」と聞こえるとシャキッとなったものです。

小学校の高学年の頃、初めて友だちとふたりで札沼線に乗って札幌に行ったことがありました。札幌駅で伯母が迎えに来てくれることになっていて、ちゃんと会えるかなとドキドキしながら乗っていました。

高校生になると、本屋さんに行きたくて札幌まで行ったことがあります。浦臼には大きな本屋さんがないので、紀伊国屋があこがれの場所でした。紀伊国屋の2階には英語の本が置いてあり、そこにいることで満足していたんです。英語で外国の人に話しかけられて、ひと言ふた言言葉を交わしたことがうれしかったのを覚えています。

大学生になると、札沼線で札幌まで行き、札幌で千歳線に乗り換えて千歳空港まで行くようになりました。東京から帰ってくるときは、千歳空港から札幌まで行き、札沼線に乗り換えて浦臼まで帰ってくる。住んでいた寮が長期休暇のときは閉まるので、毎回そんなルートで利用していました。

就職してから浦臼に帰るのは、やはりお盆とお正月のお休みくらいになりました。そして、結婚してからは元夫が運転する車で浦臼に行くようになったので、札沼線に乗ることはなくなりました。
でも、実家は線路の近くにあるので、私の娘も列車が来るのを見て育っています。

そうこうしているうちに、私は離婚したので再び札沼線を利用するようになりました。
父が生きていたときは、「浦臼に帰るよ」と電話したら必ず車で駅まで迎えに来てくれました。徒歩で10分程度のところに家はあるのに、いつも迎えに来てくれていたのが懐かしいです。父がいなくなったとき、浦臼駅について列車から降りても車がなくて涙が出ました。

札沼線に乗っていて、浦臼に着く頃は私たち母子だけという日もあり、ひっそり静かな列車でした。でも、廃線が決まってからは、鉄道ファンの方が写真を撮りに札沼線に乗るようになり、たった一両の列車は人でいっぱいで座れないということがあってびっくりしました。こんなに人が乗っているのなら、廃線にならないのにと複雑な思いもありましたよ。
人が乗っていても、沿線の町は豊かにならないのがちょっと悔しくもあったなぁ。

浦臼に近くなると、列車には貸し切り状態になることもあった。

資本主義経済の中では、利益を生み出さないものは切り捨てられてしまう。

これが宿命です。

鉄道が分割されたとき北海道には赤字路線がたくさんあったから、JR北海道は不利ですよね。黒字路線から切り離されてしまったのですから。
新型コロナウィルスの感染問題は、思わぬところで私にも影響していたのでした。

石狩当別と新十津川間は一両編成のワンマンカーでした。

東洋経済の札沼線の歴史の記事がおもしろかったので、最後にリンクしておきます。

コロナに翻弄、JR北海道「札沼線」突然の幕切れhttps://toyokeizai.net/articles/-/345089

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 この記事の投稿者

白藤沙織

Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。

営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。

仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。

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