実録!小さな会社の経営者とアラフィフ女子の夢を叶えるお手伝い 白藤沙織(さおりん)のブログ Webとブログ、SNSで、お仕事も人生も大逆転しましょう。自分らしく輝いて生きるために。実録!小さな会社の経営者とアラフィフ女子の夢を叶えるお手伝い 白藤沙織(さおりん)のブログ Webとブログ、SNSで、お仕事も人生も大逆転しましょう。自分らしく輝いて生きるために。

その人は確かに存在していた

 

 エッセイ

幼い頃の記憶だから、どこまで本当のことなのかわからない。
でも、確実に今の私に影響を与えている出来事がある。

こんな野原で遊ぶのが好きでした。

私は、その人のことを不思議な人だなと思っていた。

どちらかと言えば、口数が多く感情表現が豊かで、人との距離がめっちゃ近いような親戚の中で、その人は雰囲気が違うのである。その人は物静かな人だったように思う。

私の家に来たことがあると思う。でも、ほかのいとこのように一緒に遊んだ記憶はない。たぶん、ずいぶん年が離れた私とそんなに話すこともなかったのだろう。そうかと言って無関心でもなかった。何となく覚えている。

最後の記憶は、その人の家に行ったときのことである。白い布を顔にかけられて静かに寝ていた。重苦しい空気の中で、「笑っちゃいけないんだ」と幼い私は感じ取っていた。

私の想像上のことなのか、現実のことなのかわからない。でも、もう動かなくなってしまったその人を、私はじっと見ていたような気がするのだ。それもひとりで。
もういなくなったんだなと思った。

なぜいなくなっちゃったのだろう。どうしても理由が知りたくなった。
でも、大人には直接聞いてはいけない感じがしていた。

大人はたまにその人の話をしていた。私は聞き逃さない。黙って聞いていると、「学生運動」というのがキーワードらしい。そして、私の調査が始まる。学生運動ってなんだろう。

あさま山荘事件が起こったのは8歳のとき。
「お母さんにあんな風に心配をかけちゃいけないよ」。誰かに言われた記憶がある。

「学生運動」「闘争」「封鎖」「自殺」。

どうやって知ったのかはもう覚えていないけれど、中学生の私は高野悦子さんの「二十歳の原点」を読んでいた。その世界観を理解するのは、難しかったかもしれない。でも、学生運動があって、自殺する人もいたんだと知った。そして、自分の身近でも起こったのだ。

高校生のとき、偶然だがその人がかつて住んでいた家に住むことになった。
「あぁ、ここに寝ていたんだ」。私は小さいときのあの場面を思い返していた。そのときは、もうその人がいなくなった理由もわかっていた。その人の父親が、手記を出版したからだ。その人の思い出が書かれている章を何度も何度も読んでみた。

大学に合格した時、大学は怖いとこかなと思ったりした。でも、学内は平和そのものだった。熱く議論する人もいない。「革マル派」の学生がビラを配っているのを見たが、今の言葉で言うと「イケてない」と私は思った。

時の流れは、何もかも流してしまう。個人の記憶も薄れていく。
でも、顔もあまり覚えていないし、話したことも覚えていない、その人の記憶は流れていかない。私はなぜだか、彼が私を守ってくれた感じがする。彼と同じ道に行かないように。

小さな子どもは何もわからないと大人は言う。
でも、違う。大人のように言葉を駆使できないだけで、子どもは周囲の出来事を完璧に感じ取り、その年齢なりの理解をしようとしているのだ。

コメント

comments

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 follow us in feedly

 この記事の投稿者

白藤沙織

テニスとヨガとピアノが好き。そして4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛するWebプロデューサー「さおりん」です。

考えをはっきり言うズバリスト。その性格を生かして、Webのこと、生き方のこと、本のことなどなど、ずばり言います。

小さな会社の経営者と、アラフィフ女子がキラキラと輝くためのむお手伝いがしたい。そんな思いで日々活動中です。

プライベートでは、ひとり娘のシングルマザー。仕事と子育てとめいっぱいがんばってきたので、人生のパートナーができるといいなぁと密かに夢見ています

上級ウェブ解析士、エクスマ59期・65期、エヴァ16期

ページ最上部へ